10/7(土)昼、「剣狼」@東京芸術劇場小ホール

稲葉貴子

劇団X-QUEST(http://x-quest.jp/index.html)の舞台です。稲葉さんとハロプロエッグが出演しました。
外界と隔絶された流刑の島で暮らす島民たちのもとに、ひとりの男が流れ着いて来ます。その男ケンはある秘密組織(詳細は忘れました)の長を殺して追われる身。物言わぬケンは食ってばかりの木偶の坊、と思いきやとんでもない剣の達人。やがて組織の集団がケンを追って島にやって来て、ケンのみならず島民まで皆殺しにしようとします。島を守るため立ち上がる島民たち。ケンは100人斬りの大立ち回りで組織の人間たちを倒して行きますますが、島民も少女たち(ハロプロエッグ武藤水華橋田三令後藤夕貴)を残して全滅状態。最後にケンは、組織のただ一人の生き残り、組織の長の娘(ハロプロエッグ古川小夏)に刺されて終わります。
こうして見るとずいぶん凄惨なお話ですが、この中に愛とか恋とか夢とか友情とかが盛り込まれています。稲葉さん演ずる島民のアカネは、ディナーショーでの稲葉さん曰く「初めての(笑)美人役」で、踊りの名手です。島民のコミュニティに背を向けオーロラを見たいという夢を持ち島を離れようとしていた男リュウセイと淡い恋仲になります。
見どころは、前半のお芝居に随所に挿入されたダンスシーン。狭いステージの上を、こんなにたくさんの人が踊るの?と思わせられる人口密度で、迫力のダンスです。後半は何と言っても100人斬りの大立ち回り。文字通り100人を斬ります。舞台上方のスクリーンに斬った人間の数をカウントする数字が映し出されます。100人相手の殺陣の手順をよく覚えられるなあと感心しました。少しでも間違えたらケガのもとです。X-QUESTのブログを見たら、公演中に骨折したり5針縫うケガをした役者さんもいたとか。そのぐらい激しいシーンでもありました。
さて稲葉さんですが、ハローの中では歌もダンスも圧倒的です。キャリアも図抜けています。しかしこの舞台で共演する役者さんたちは、稲葉さんと同じくらいかそれ以上のキャリアを、舞台一筋、ダンス一筋に歩んできた人もたくさんいるでしょう。そんな中ではさすがに稲葉さんの存在感も霞んでしまいます。普段からマイクを通さない生声で勝負している役者さんたちに比べると声量も負けてしまいます。それでも稲葉さんは十分頑張っていたと思います。むしろハローの中では稲葉さんだからこそこの舞台に出演できたと思います。
僕はこの舞台、もちろん稲葉さん目あてで行きました。稲葉さんは主要な登場人物のひとりではありましたが、出番が特に多いわけでもなく、圧倒的な存在感を示すこともありませんでした。その点はもの足りなさを感じましたが、それでもこの舞台の経験が稲葉さんにとって大きな糧になっただろうと思うと、むしろそれが嬉しく思えました。