8/25(金)夜、リボンの騎士

小川麻琴

昼に2列右サイドで見ましたが、最後に全体を見渡しておきたかったので18列のセンターのチケを取りました。既に千秋楽を終えている現在、25日の観覧記など激しく今さらな感じがしますが、僕の観覧した最終公演なので、自分用の覚え書きとしてフランツと小川さんについて少々。


なっちフランツ素晴らしかったです。たとえば「あなたに会いたい」。第一幕、理不尽な冤罪で誇りを傷つけられ、牢獄で死を覚悟しながら亜麻色の髪の乙女を想って歌います。涙なしには聴けません。第二幕では決戦の前夜、戦いに勝って亜麻色の髪の乙女と共に生きて行く強い意志を感じます。こういう人物に国を治めてもらいたいと思います。
これでまた松浦フランツを観たら「あややカッコイイ!」、石川フランツを観たら「やっぱり石川さんだな」と思うかもしれませんが(笑)、誰のフランツが良かったか、という議論は不毛なのかもしれません。それぞれ持てる力と個性を発揮した三者三様のフランツ、どれも素晴らしかったです。その上で強いて好みを挙げるなら、なっちフランツです。なっちのフランツが一番スタンダードな感じがしました。ビールにたとえれば、なっちフランツは長年慣れ親しんでいるキリンラガービールあややフランツはちょっとおしゃれに小麦の白ビール、石川フランツは香ばしいく濃厚な黒ビールという感じです。


さて見納めとなる小川さんですが、小川さんの登場シーンは吉澤さんや小春ちゃんとの絡みが多く、どうしてもその2人に目が行ってしまうためにこれまではなかなか小川さんに焦点を合わせて観ることができませんでした。
そんな中、意識して注目したのは剣の試合の場面です。大臣の誘導でフランツとサファイヤが剣の試合をすることになり、ナイロンが意を決した表情で毒を塗られた剣を用意します。しかしいざフランツに剣を渡す段になって躊躇し足取りが鈍ります。結局大臣に後押しされて剣を渡すのですが、ここまでの一連の無言のお芝居は、小川さんの貴重な見せ場のひとつです。
もうひとつ、今度は無言の演技ではなくセリフに感情をこめる見どころに「国が滅びるときはあっけないものだ。芯から腐ったリンゴが、自分の重みで落ちて潰れるだけだ!」の場面があります。ボンクラ大臣のお気楽参謀だったナイロンの口から発せられるだけに、かえって重みを感じます。このセリフ一発で、劇中で終始脇役だったナイロンの存在感は一気に高まります。それは小川さんがモーニング加入以来ほとんど脇役に徹し続け、卒業に際しモーニング娘。史上最高の演目に巡り合え輝けたことを象徴しているかのようです。
小川さんのモーニング最後の仕事がこのミュージカルで、本当によかったと思いました。